コラム

一度うつ病になると、治らないのでしょうか?

「うつ病は心の風邪」などと言われ、「うつ病」という言葉はかなり知られるようになりましたが、うつ病の実態、ことに一度うつ病にかかった方のその後については、まだまだご存知ない方も多いのではないでしょうか。EAPへのご相談の中でも、「一度うつ病になると、治らないのでしょうか?」というご質問をいただくことがあります。

一般的には、うつ病の方の約75%は3ヶ月以内に回復すると言われています。また、再発率は1年で30%、5年以内で40~60%とされ、約半数の方は再発せずに経過するという報告があります。

しかし、一度うつ病になったからといって、いわゆる「免疫」ができるわけではありません。 それでは、再発防止のためには、どうしたらよいのでしょうか?

まず何よりも、症状が軽快したからといってすぐに抗うつ薬の服用をやめてしまうのではなく、主治医の先生の指示に従ってきちんと服用を続けることが大切です。服用を中止してしまうと、再発のリスクが3倍にもなると言われています。再発防止のためには、初めてうつ病になった場合は1年、再発の場合には3年間の服用が目安とされています。 これと並行して、ご自身でストレス対処法を身につけることも大切です。たとえば、物事の捉え方の癖を修正するために認知行動療法などの手法を用いる場合もあります。また、職場の方やご家族など周囲の方々に配慮やサポートをお願いする、といったことも必要です。 つまり、抗うつ薬の力を借りながら、ご自身でもできる限りの工夫をする・・・この2本立てがうつ病の再発防止には有効だとされています。症状の変化に注意しながら、ご自身でオリジナルの「免疫」を作っていく、そんなイメージと言えばよいでしょうか。

結論として、「うつ病は治るのか、治らないのか」と考えるよりも、むしろ「どのようにしてうつ病とつきあっていくか」「再発防止のために、オリジナルの免疫をどのように作っていくか」・・・そんな見方をしていただくとよいのではないかと思います。うつ病にかかるのは辛い体験ですが、「免疫」をつくることができれば、その体験を今後の健康のために活かすことができますね。

【東京海上日動メディカルサービス株式会社 健康プロモーション事業部】

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