コラム

~親しき仲にも縄張りあり~

仕事中、上司や同僚がぐぐっとそばに寄ってきた時、思わず身を引いてしまった。そんな経験はありませんか。親しくない人に顔を近づけられると、落ち着かなくなったりのけぞってしまうでしょうし、電車の中では、ドアのそばの席から埋まっていく事が多いのではないでしょうか。このように、人は他人との間に物理的な距離をとって、快適な空間を保とうとしています。この空間のことをパーソナルスペースといいます。個人の縄張りとでもいえるもので、相手がその空間を侵して入り込むと、人は不快感を覚えるのです。相手との親密度によってこの距離は異なりますが、一般的に、関係により相手と自分との距離は以下のようだと言われています。

親密な関係 45cm以内 家族・恋人などとの身体的接触が容易にできる距離

個人的関係 45~120cm 友人などと個人的な会話を交わす時の距離

社交的関係 120~360cm 職場の同僚と一緒に仕事をする時などの距離

公式的関係 360cm以上 公的な人物と公式的な場で対面する時の距離

職場で、同僚や上司と話す時の距離を当てはめてみると、納得がいくと思います。もちろん、親しくなれば、近くで話が出来るようになってきますし、場の要因にも左右されることがあります。例えば、満員電車の中では自分のスペースに知らない他人が常に入っていますが、本を読んだり眠ったりして我慢しています。また、一般的に男性より女性の方が、内向的な人より外交的な人の方が、パーソナルスペースは狭いといわれています。

なんとなく一緒にいると圧迫感を感じて苦手な人、もしくは、どうも自分から距離を取りたがっている人がいれば、ひょっとしてパーソナルスペースが関係しているのかもしれません。ある会社で、新しく来た上司が特に欠点はないのだけれどもなんとなく部下に煙たがられているというので、よくよく話を聞いてみたら、どうやら部下のスペースに入り込んでいるようでした。報告や打ち合わせに使う椅子の距離を上司から数十センチ離すことで、ほどなく関係が改善した、という例もあります。
人間関係には、いろいろなことが影響しているものですね。

【東京海上日動メディカルサービス株式会社 健康プロモーション事業部 EAP室】

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