コラム

~ちゃんと眠っていますか?~

適度な睡眠時間は、個人差はあるものの、おおむね6~8時間程度とされています。そして睡眠時間が6時間未満の状態を続けている人は、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高いという統計が報告されています。メンタルヘルスへの悪影響も知られています。

ところで、一般企業における「過労」の基準をご存知でしょうか。基準の一つは、「月あたりの残業時間が2~6ヶ月連続して80時間オーバー」です(「80 時間?たった?」と、お思いの方も多いことでしょう)。1ヶ月に平均20日働くとして、1日4時間残業したら月あたり80時間の残業になります。その場合、退社するのが21時で、通勤時間が片道1時間かかるとして、帰宅して食事して入浴して余暇の時間があって、翌朝7時に起きるとして・・・と計算していくと、「月に80時間以上残業していると、平均睡眠時間が6時間を割ってしまう」ということになるそうです。その結果、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高まりますので、「月80時間以上の残業」→「過労(死)」という図式が出来上がるのです。そして、過労によるうつ病の発症、過労自殺ともつながっていきます。ちなみに、残業時間が月100時間を超えると、1ヶ月でも「過労」とみなされます。

「21時に退社できたらラッキー」という方へ。ふだん、何時に寝ていますか?仕事が忙しくて帰りが遅くなった日は、なんとなく神経がピリピリしていたり、すぐ眠るのがもったいないような気がしたりして、ついつい深夜2時3時まで夜更かし・・・なんてことになっていませんか?翌朝、辛くないですか?休日は「寝だめ」して終わったりしていませんか?それだけならまだしも、寝不足が心筋梗塞や脳梗塞、あるいはうつ病のリスクファクターであることをご存知でしたか?

管理職の方へ。部下の睡眠時間を確保させてあげて下さい。もちろん、ご自分にも。

皆でしっかり眠りましょう。

【精神科医:廣山祐仁(ひろやまゆうじ)】
廣山祐仁
東京医科歯科大学医学部卒。精神保健指定医で、ココロの健康診断eMe(イーミー)開発の中心メンバー。東京海上日動メディカルサービス株式会社 健康プロモーション事業部 EAP室 室長。アドバンテッジEAPにおける、メンタル領域全般を医師として担当。日本医科大学精神科でEAP外来を担当し、研究活動も行う。
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